はじめに
今回は、シグマの公式を使った問題です。
シグマという言葉が難しく感じさせますが、行っている計算は単純で、
和を求めるというだけです。
シグマとは?
例えば、
という偶数のたし算の計算をする場合、おそらく純粋に足し合わせて、 という結果をすぐに導くことができるかと思います。
この計算を、試しにシグマの考えを使って書いてみます。
偶数は、「 (整数) 」と表すことができるので、仮に整数の部分を
とすると、偶数は
と表されますね。
仮に に
を入れてみる(代入してみる)と、
となり、「 」の初項の値が出てきます。
同じように、 に
を代入すると、
となり、「 」の第
項の値が出てきます。
さらに、 に
を代入すると
、
に
を代入すると
となり、第 項と末項の値がそれぞれ得られると思います。
そして、それらの和を考えると、 という答えになるわけです。
ここまでのことをまとめると、つまり今回の計算は、
「 という式の
という文字に、
から
までの値を入れて
和を計算する」
ということになります。
これを数学では、
のように表記します。
もう つ例を考えてみましょう。
この要領で考えると、
「 という式の
という文字に、
から
までの値を入れて
和を計算する」
という文章を、シグマを使って表すとどのようになるでしょうか?
答えは、
となります。
これがシグマを使った和の表し方です。
シグマの計算では、注意すべき点があまりありません。
なぜなら、先程の例で言えば「 」や「
」などの一般式を作る
ところが最も皆さんが苦戦しやすいところだからです。
式さえわかってしまえば、あとはシグマの公式を純粋に当てはめるだけとなります。
そんな公式をミスなく使うだけのシグマですが、つまずきそうなポイントを
強いて挙げるなら、複数の文字が登場するということです。
上記の例でみてみると、
を計算すると、 という答えになるわけですが、
お分かりの通り、シグマの計算で という文字は使っていますが、
最終的な という結果に
という文字は含まれていませんね。
このように、シグマの公式を使うためだけに用いられ、最終的になくなる
文字のことをダミー(dummy)と言いますが、このダミーのほかに、
数列の一般項を求める式には、大抵 という文字が使われます。
等差数列や等比数列の問題でもそうだったように、
この に関しては、最後の結果まで残り続ける文字となります。
つまり、シグマを扱う問題を解く場合、一般項の中で使われる と、
ダミーとして使われる という
種類の文字が最低でも
入ってくることになるわけです。
文字が複数含まれる場合、ほかのどの分野にも当てはまる対処法ですが、
その文字が何の役目を担っているかを把握して問題を解いていくことが
大切になってきます。
では、実際の問題を見ていきながら、シグマの性質やその使い方を
学んでいきましょう。
シグマの公式
後で紹介する問題と解説にこれらの公式を使うので、わかりやすいように番号をつけておきます。
この次に紹介するシグマの性質についても、番号をつけておきますね。
また、上記の公式には含まれていませんが、初めて見たときに少し戸惑うであろう形を つ示しておきます。
大抵シグマの計算には、上記の公式のように というダミーの文字が含まれていますが、この部分が定数になることがあるのです。
例えば、
のような形です。
この場合、 という文字がないため、
に値を代入することができません。
よって、 という数は変化しないため、
を
回足し合わせるだけの作業となり、
となります。
シグマの性質
最初に説明した通り、ダミーの文字は最終結果には残らないので、どの文字を使っても意味は同じです。
例えば、
であれば、 という文字に
から
までの数を代入
して和を考えるという意味であり、
であれば、 という文字に
から
までの数を代入
して和を考えるという意味となるわけです。
では、実際に問題を通して、使い方を見ていきましょう。
問題
次の和を を用いて表し、その和を求めよ。
()
()
解説
()
今回は、第 項がすでに与えられているため、純粋にシグマの公式を当てはめるだけとなります。
シグマの計算をするときは、まず第 項に含まれている
という文字を、ダミーの文字に置き換えるところから始まります。
今回、ダミーの文字を とすると、第
項が
なので、
について考えていくことになります。
こうすることで、「
」という式は、
「 という式の
という文字に、
から
までの値を入れて和を計算する」
というように読み替えることができるわけです。
実際、 に
を代入すると、
であり、
に
を代入すると、
であり、
に
を代入すると、
となりますね。
そしてそれらの和を考えることで、
「
」
となるため、問題文を上記のように書き換えたことになるわけです。
よって、書き換えた問題文をシグマを使って表し、
となります。
あとはシグマの公式や性質を使いながら式を変形していくだけの作業となります。
※④を適用
※前半に、⑤を適用
※前半に、①を適用
※後半に、 が含まれない場合のシグマの考えを適用
()
まず今回の問題では、第 項がまだ与えられていないため、それを求めるところから始まります。
乗になっている数を見ると、奇数であることが容易にわかるかと思いますので、
第 項は奇数の
番目の数、つまり
を使って表されることになります。
※ も奇数の表し方の
つですが、こうしてしまうと、初項(
を代入した場合の項)が
になってしまい、今回の問題の初項の奇数とズレてしまうのです。
さらに、すべての項が 乗されていることを考慮し、第
項は
になります。
ここからは、()のときと同様、
という文字を、ダミーの文字
に置き換えて、
という式について考え、シグマの公式を使っていきます。
つまり、
を計算すれば、答えとなるわけです。
※を展開
※④を適用
※最初の項と つ目の項に⑤を適用
※最初の項に②、 つ目の項に①、最後の項に
が含まれない場合の
シグマの考えを適用
最後の計算が少しややこしいですが、
・同類項をまとめる
・すべての項に共通している文字や数(共通因数)を前にくくり出す
・かっこの中の同類項をまとめる
・かっこの中の共通因数を前にくくり出す
のように作業を繰り返せば、大抵の計算はきれいに整理できます。
あとはそれらをミスなくできるかです。
丁寧に自分の計算を見直しながら、解き進めていきましょう。
実際の答案
()
よって、
()
よって、
おわりに
今回は、シグマの公式を使った問題でした。
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